『RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる』を読んだ。
あなたは「5年後、10年後はどうなっていたいですか?」と面接や面談などで聞かれたことがあるだろうか。また世の中の本では長期的な目標を持つことの良さが書かれていないだろうか。
私はそんなとき「そんなこと考えられないよ」と思っていた。そして、「そんな計画も立てられないなんて、自分はダメだなぁ」と、これを聞かれると自己肯定感が下がる感じがしていた。
この本は、私と同じように思ってる人、また、子供に早いうちに何かやらせないと!と焦ったりしている人におすすめの本である。
この本の冒頭で、タイガーウッズとロジャー・フェデラーのスポーツ選手としてのキャリアの比較がなされている。冒頭から引き込まれて読み進めてしまった。
エリートの教育方針の、練習量で決まるというのは、学習者にとって優しい環境ではそうだが、学習者にとって優しくない環境では、幅の広さが重要になってくるというのだ。「世界はもちろん、ゴルフではなく、テニスですらない。」と著者は言う。世界は学習者によって優しくない環境である。
幅の広さが重要になってくる例として、トップのジャズ奏者とクラシック奏者の例もあげられていた。音楽界では、ジャズ奏者がクラシック奏者になることはできても、クラシック奏者がジャズ奏者になることはできないと言われている。クラシック奏者はエリートの典型。練習によって差が決まる。小さい頃から一つの楽器に絞って練習する。それに反して、今までトップと言われるジャズ奏者はエリート教育を受けてこなくて、楽譜すら読めない人がほとんど。独学で3つ以上の楽器をひいてきたという共通点があるそう。クリエイティビティを向上させるには、幅広く時間をかけて自分で学んでいくことが必要不可欠なのだ。
ドロップボックスを育てた、コンピューター科学者のポール・グレアムが高校の卒業式の生徒に向けた書いたスピーチの内容が印象的だった。「将来が予測できない世の中で、計画を固めてしまうのは賢明ではない。目標を定めて逆算して歩き始めるのではなく、今の有望な状況からスタートして前に進みましょう。将来に関して何も具体的に決めない。ということを提案する。今の選択肢から、有望な選択肢につながるものを選ぶ」という内容のスピーチだ。この箇所は、「5年後の目標、10年後の目標」の質問にうんざりする人にとって、とても心がすーっと楽になるし、ワクワクがみなぎってくるのではないか、と思った。
また私が納得できたのは、「「ストレングスファインダー」や「自分の強みを生かす」といったものは、自分が成長して、新しい何かを見つけ、才能を開花したりすることを全く考慮しないで自己分析をさせる。」という内容のところだ。「人は答えが欲しいので、「何かを試して、何が起こるかみてみよう」と提案するのは難しい。」と書かれていた。人間は変わるものである。その時の、興味も違うし、行動することでできることも性格も変わってくる。この箇所で、自分にはまだまだ成長することもできるし、いろいろなことに挑戦できる。というような勇気をもらった気がした。
この本を読んで、子供には自分で自分の好きなことや興味のあることを見つけてもらいたい。早期教育なんて必要ない。親は、その都度サポートをするだけ。ということを学んだ。また、自分も遅れをとったと思わずに、興味あることに常にチャレンジしていこうという希望とワクワクをもらったのであった。
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